我が国では廃棄物の処理及び清掃に関する法律の規定により、家庭ごみの収集や処分は市町村の義務とされています。
そのため、各家庭においてごみを排出する場合には、通常は自治体所定のごみ集積所などに置いておくだけで済みますが、別荘やセカンドハウスのように住所のない場所からのごみについては、一筋縄ではいかない問題があります。
自治会管理のごみ集積所の使用は難しい
廃棄物の処理及び清掃に関する法律では、一般廃棄物とされる家庭ごみの収集・運搬・処分は市町村の義務とされています。
そのため、市町村は自前でパッカー車などを用意するか、または民間の廃棄物処理業者に委託するなどして、それぞれの責務を果たしています。
しかし、都市部のような戸別回収方式を採用していない田舎の市町村の場合、ごみの収集はアパート・マンションや各自治会・町内会の班ごとに設けられたごみ集積所において行うのがふつうです。
アパート・マンションであれば、毎月の家賃のほかに入居者から徴収される管理費をもって、不動産会社がごみ集積所の管理をしていますので、入居者である限りは支障なく使うことができます。
管理された別荘地の場合も同様に、管理事務所が別荘地内に限ったごみ集積所を管理しているため、別荘所有者であればごみ集積所を使うことができます。
ところが、自治会や町内会管理のごみ集積所の場合には、ほとんどが会員以外の使用を認めていないため、未加入者にあたる別荘やセカンドハウスの住人は、そのままではごみを排出したくてもできない状態に置かれています。
こうした場合の方策としては、通常は次のいずれかとなります。
- 自治会と交渉してごみ集積所の使用を認めてもらう。
(一部の自治会では管理費相当の金額を納めれば未加入者であってもごみ集積所の使用を認める取り扱いをしていることも) - 市町村が運営している清掃センターまで自動車で出向いて直接搬入する。
- 住所がある本宅までごみを持ち帰る。
直接搬入の場合は身分証明書などの提示を求められることも
別荘やセカンドハウスのように、住所が置かれていない場所で短期的に滞在している最中に発生したごみについては、清掃センターに直接搬入するのが現実的にはいちばん楽な方法です。
マイカーにわざわざごみを積んで移動しなければならない手間はありますが、そうはいっても自宅まで持ち帰るよりは移動距離も格段に短いはずですし、隣人との軋轢を避けられるという点でもメリットがあります。
ただし、この場合に気をつけなければならないのは、清掃センターの窓口で本人確認や搬入場所の所在確認のための書類の提示を求められる可能性があることです。
次の表はとある自治体で直接搬入時に求められる書類の例を示していますが、やはり住所がある地元住民と比較すると制約があることがわかります。
自治体 | ごみ直接搬入時に持参すべき書類 |
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A市 | 搬入申告書 身分証明書(運転免許証) ごみ処理手数料(100キロまで1,000円) |
B市 | 免許証 市内の別荘などの公共料金の請求明細や納税通知書等、住所と氏名が記載してある書類 |
C市 | 運転免許証、マイナンバーカードなど 短期賃貸マンション等の賃貸契約書、固定資産税・都市計画税納入通知書、登記事項証明書など |
別荘民のため地域ごとに拠点を置いて収集するケースも
清掃センターは通常であれば市町村の区域内に1つのみですが、合併を繰り返して大きくなった市町村の場合には、別荘やセカンドハウスからその清掃センターに出向くのもなかなか大変になってきます。
そこで、市町村の区域内にいくつかの拠点を設けて、別荘民にのみ開放している事例があります。
マイカーがあって時間的な余裕がある人にとっては便利ですが、時間が短いため順番待ちになることがあるほか、ごみ袋は作業員が直接受け取るため極端に監視されているようで不快といった苦情もあるようです。